観戦レポート

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高校サッカー選手権2013

投稿日時:2013/10/22(火) 18:44

松蔭高校サッカー部の高校サッカー選手権への挑戦は、県大会3回戦で残念ながら終わりを迎えた。
その記憶に残る戦いをレポートする。


前日の2回戦を快勝し、3回戦にコマを進めた松蔭高校。
会場は名古屋高校の人工芝グランドとなった。
秋雨前線の影響でこの日は朝から雨。
時には激しく降り、人工芝といえども水たまりができるコンディションとなった。

ちなみに、この日の第1試合は名古屋×大同大大同であったが、延長戦でも決着が付かずPK戦でインターハイ王者・名古屋が敗れるという波乱があった(2-2の両チーム得点はすべてセットプレー)。
雨のサッカーは何が起こるかわからない。


前の試合が長引いたことで、キックオフは15時となった。
松蔭は前日と同じ先発メンバー。
雨のピッチでどのような戦いを見せるのか注目が集まった。

序盤、水の浮くピッチを考慮し、浮き球のパスを使うが、それでも松蔭スタイルは変えない。
DF陣のパス回しこそ少ないものの、中盤からはドリブルとパスで果敢に攻める。
すると雨のピッチをものともせず面白いぐらいにパスがつながる。
いや、松蔭グランドでの泥んこでの練習に較べればこのピッチは彼らには十分なコンディションだったのかもしれない。
前半開始からしばらくは三好にロングボールを蹴らせる余裕すら与えないシーンが続いた。
しかし、時折見せる三好のカウンターも鋭く、ファーストシュートがポストを叩くなど、一瞬も気を抜けない。
雨中でありながら非常に激しく見応えのある攻防が続く。
あっという間に前半も半分を過ぎ、22分、松蔭は右サイドからFKを獲得。
左足から放たれた低いライナーのキックはゴール前の密集に飛び、こぼれ球を松蔭MFが押し込み先制。
押し気味に進めていた前半の均衡を破る。
その後も、松蔭はプレーを変えず、まさに松蔭が信じて続けてきたサッカーをやり続ける。
雨に濡れながら選手達は時折笑っているようにも見える。
それくらいのこの日の松蔭のプレーは美しく、楽しく、儚くも力強いサッカーだった。
このコンディションで、果敢に1対1を挑み続ける姿こそ松蔭スタイル。
負ければ終わりのトーナメントでこんなプレーができるチームは多くはないと思う。
そんな素晴らしいプレーを魅せながら前半はあっという間に終了。
1-0で折り返す。

後半のキックオフ。
雨の勢いはやや弱まってきたが、松蔭は前半の勢いのまま攻めたいところ。
しかし、後半の主導権を握ったのは三好だった。
ボールを散らしながらサイドの突破を試みる三好。
後半の開始途中からボールへの寄せが早くなり、セカンドボールを拾い始めると、徐々に松蔭サイドでプレーする時間帯が長くなる。
10分過ぎからは三好の連続攻撃。
すると14分、右からのクロスを強烈にシュートするが、松蔭GKがファインセーブ。
しかしその3分後、三好は右サイドのスローインからクロスを上げ、ヘディングを放つとボールは弧を描きゴールネットを揺らす。
1-1、ゲームは振り出しに戻った。
松蔭は20分、FW選手が交代。
中盤でパスをつなぎながら裏のスペースを狙い始める。
右サイドを中心に何度か突破を挑み、三好に行きかけた流れを徐々に戻し始める。
すると、再び落ち着きを取り戻した松蔭の中盤が華麗なプレーを魅せ始める。
いくぶん水が少なくなったおかげでグラウンダーのパスも通り始める。
しかし、時計の針は止まらない。
後半終了間際には怒濤の攻めを見せるが、三好も体を張ったセーブで得点を許さない。
結局、80分間では勝負が付かず10分ハーフの延長戦に突入した。

延長に入ってもお互い足は止まらない。
もう体力も限界に近いはずなのに、体を動かしている原動力は気持ちだけ。
お互いの気持ちと気持ちが戦っている。
延長前半に見せ場を作ったのは三好。
7分には強烈なミドルシュートを松蔭GKがはじくも、こぼれたボールはゴール左隅に。
ゴールインかと思われたが、ラインのわずか手前の水たまりで勢いを無くしたボールをGKが懸命にかき出す。
その直後には再び強烈なミドルシュートが松蔭GKの頭上を越えるが、ポストに救われる。
延長前半の10分は終了し、休憩無しでコートチェンジ。
延長になってもパスをつなぐ松蔭。
少しづつ足が止まり対応が遅れ始める三好の隙を突いて再三ゴール前に攻め込むが、なかなかシュートまでは持ち込めない。
それでもCK、FKを次々獲得し、最後まで怒濤の攻撃を見せる。
しかし、得点は入らず無情のタイムアップのホイッスル。
勝負はPK戦となった。

雨の中、100分間を戦い抜いた選手達に、PK戦は酷なように思えた。
しかし、センターサークルで肩を組んでキッカーを送り出す両チームを、ただひたすら応援するしかなかった。
先蹴りは松蔭高校。
一人目のキッカーがわずかに足を滑らし、ボールは無情にも左ポストに当たり枠外へ。
しかし、三好も2人目キッカーが右ポストにあて、両チーム2人づつ蹴り終わって1-1。
その後、両チームとも3人ずつが決め4-4。
松蔭4人目はトリッキーなキックを見せ会場を沸かせる。
遂にサドンデス突入。
松蔭6人目のキックは枠に飛ぶも相手GKが触りゴールならず。
三好6人目のキックは左ポストにあたるも、ゴール内にころがりゴールイン。
4-5で三好高校に勝利の女神は微笑んだ。


終わりの時は突然に訪れた。
雨のピッチに崩れ落ちる選手達、肩を組んだまま呆然と立ち尽くす応援の選手達。
そして、応援席の誰もが言葉を失ってしまった。
歓喜する三好高校との対比が、一段と松蔭の悲しさを明確にした。
終わりを受け入れることが難しいゲームだった。それほど今日の松蔭サッカーは素晴らしい内容だった。
だから、選手達は胸を張って欲しい。
この時、この場所で感じたことをずっと忘れないで欲しい。
仲間とプレーし練習した一瞬一瞬を心に刻んでおいて欲しい。

最後に応援席の前に選手が整列した。
代表してキャプテンが挨拶してくれた。
「このメンバーでサッカーをできるのは今日で最後になります。
 みなさんに、そして後輩たちに、松蔭のサッカーを1試合でも多く見せたかった。
 でも残念ながら負けてしまいました。」
言葉を詰まらせながらの挨拶に、他の選手達も涙をこらえることができない。
「僕たちがやってきたサッカー、叶えられなかった夢は、必ず後輩たちが引き継いでくれると思います。
 そして、松蔭高校でサッカーができて本当に良かった。
 今まで応援ありがとうございました。」
素晴らしい挨拶に、拍手はいつまでも鳴り止まなかった。


3年生はこれで引退となります。
最後まで自分たちのサッカーをやりきったことには自信と誇りを持って欲しい。
素晴らしいサッカーをありがとう。
応援できて幸せでした。


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インターハイ・ベスト8

投稿日時:2013/05/27(月) 21:56

 インターハイ愛知県大会が終了しました。今回の大会で印象に残ったのはやはり名古屋高校の大躍進でしょう。一昨年に人工芝・フルピッチという充実した練習環境を手に入れ、その成果が少しずつ結果に結びついてきたのではなでしょうか。今までは、県リーグ1部の中堅チームという印象でしたが、県大会全勝優勝での全国出場は立派というしかありません。全国大会では第2代表の中京大中京高校ともども愛知県旋風を巻き起こしてもらいたいと思います。
 その名古屋高校とベスト4進出をかけて戦った松蔭高校でしたが、後半ロスタイムに同点に追いつくも、延長戦で惜しくも1-2で惜敗。決勝リーグにあと一歩届きませんでした。ゲーム終了後、応援団に向かっての選手挨拶で、「このメンバーでサッカーできるのはこれで最後になってしまいましたが・・」という選手からの言葉を聞いた時は、思わず目頭が熱くなりました(小雨が降っていたおかげで助かりましたが)。スポーツに、「たら・れば」は禁物ですが、この戦いを勝ち抜けた名古屋高校が全国大会にコマを進めたことを考えると、本当にあと少し何かがあったら、もう少し運があれば、結果は大きく違っていたかもしれません。ただ、確かなことは、あの一試合で経験したこと感じたことは、あの瞬間にしか得られないということ。そんな試合ができた(応援できた)だけでも良かった、と思います。やり残したことは、それぞれの次のステージで手に入れましょう。
 さて、代表になった名古屋高校と中京大中京高校ですが、戦いを振り返ってみると、中京大中京は死のグループと言われた組み合わせの中で、熱田、岡﨑城西、東邦を撃破し、決勝リーグでは刈谷、東海学園を破っての2位(名古屋にはPK負け)。名古屋も愛工大名電、名経大高蔵、松蔭にすべて1点差で勝ち、決勝リーグは東海学園、中京大中京、刈谷に勝っての優勝と、どちらも実力で掴んだ全国への切符。敗れたチームのためにも全国では強豪愛知県の代表として悔いのない戦いをして欲しいと思います。頑張れ愛知勢!

フットサルトーナメントで松蔭が残したインパクト

投稿日時:2013/04/05(金) 22:06

 このところ徐々に市民権を得つつあるフットサル。小さなコートで少人数で楽しめるので、大人から子供までフットサル人口は確実に増えています。特にジュニア世代では8人制サッカーの導入など、スモールサイドゲームへの移行が推奨されていることもあり、フットサルの全国大会も多数開催されています。
 そんな中にあって、やや遅れをとっているのがU-18世代。まだまだフットサル部がある高校は少ないし、公式戦も殆どありません。そんな状況に一石を投じるために2012年からスタートしたのが「フットサルトーナメント」であり、今年も3月に全国大会が開催されました。
 松蔭は2月の愛知県予選で強豪名古屋オーシャンズU-18を撃破。一躍全国の注目を集めました。
 この大会は、北海道、東北、北信越、関東、東海、関西、中国、四国、九州、そして開催地愛知県の10ブロックを勝ち抜いた10チームが参加。武相(神奈川県)、中越(新潟県)、瀬戸内(広島県)、高知西(高知県)といったサッカー強豪校が各ブロックを勝ち上がっています。
 3月30-31日に行われた全国大会は、5チームずつのリーグ戦を行いその上位チームが決勝を行うもの。松蔭は予選を4連勝で1位通過。4試合合計27点という攻撃力は、参加チームに大きな脅威を与えました。
 迎えた決勝戦。相手は中国プリンスリーグに所属する強豪瀬戸内高校。決勝はある意味サッカー対フットサルの戦いになりました。まず、先制したのは松蔭。しかし、連戦で運動量がやや落ちた松蔭の隙をついて、瀬戸内が反撃。結局1-2と逆転を喫し、そのままホイッスルとなりました。
 優勝こそ逃しましたが、「松蔭サッカーここにあり」を十分にアピールできた大会となりました。巧みなドリブルで対峙する選手をかわし、狭いエリアで細かいパスを繋いだことが決勝までの松蔭の勝因ですが、決勝では疲れもあったのか、残念ながらあと一歩勝利には届きませんでした。
 しかし、全国準優勝を飾ったことは紛れもない事実。おめでとう松蔭サッカー部!


新人戦ベスト4

投稿日時:2013/03/10(日) 15:21

 刈谷高校の優勝で幕を閉じた今年の新人戦。3年生が抜け各チームとも新体制で初の公式戦となるだけに、注目が集まりました。 各支部予選を勝ち抜き、県大会に顔を揃えたのはリーグ戦1部2部を中心とした高校。組み合わせとしてはAブロックに東邦、東海学園、名東、そして中京大中京が集まりました。松蔭のDブロックには愛知、岡崎城西というリーグ戦1部の高校が入りました。その結果、県大会序盤に昨年のリーグ戦覇者東海学園、公立の実力校名東が早々と姿を消し、ベスト8は東邦、中京、同朋、名電、三好、刈谷、愛知、松蔭の8校。
 その中からベスト4に残ったのは、東邦、同朋、刈谷、そして岡崎城西、愛知との接戦を制した松蔭。結局、優勝は刈谷、準優勝は同朋となりました。
 東海学園、岡崎城西など強豪校が早々と敗退するなど、波乱の大会となりましたが、裏を返せばリーグ戦1部・2部のチームはどこが優勝してもおかしくないだけの力を持っていると言えるようです。間もなく始まるリーグ戦、そしてインターハイが待ち遠しくなるような、新人戦の各校の戦いでした。
 松蔭はリーグ戦、インターハイに弾みのつくベスト4。全国目指して更なる高みに挑戦して欲しいところです。